Making of Ana de Armas Portrait - JP
皆さんこんにちは。私の名前は清水智規です。
私は長年日本のゲーム・映像業界で働いてきました。私はフォトリアリスティックな人物作成に大変興味があります。しかし日本ではジャパニメーションスタイルのプロジェクトが多く、仕事でフォトリアルな人物を作成する機会が少ないので個人で独学・研究しながら作品を制作しています。
昨今、TexturingXYZはフォトリアリスティックな人物キャラクターの作成には欠かせなくなっています。
おそらく貴方が一度は見た事がある世界中の優れたアーティスト達によって作られた、目を見張る様なデジタルヒューマンの多くにXYZは使用されています。
Reference
さて実在の人物の似顔絵を作成するにはまずリファレンスとなる画像を探す事から始めると思います。
ではどの様な画像を探せば良いでしょうか。
このサイトのブログページにある
Darren Pattenden氏による
21 tips on capturing a human likenessと言う記事がとても参考になります。
基本的には正面、横の正投影に近い画像を探します。
Zbrush SpotLight
集めたリファレンスを参考に、Zbrushで顔の作成をしていきます。
ZbrushのSpotlight機能を使って作成しますが、今回はNick Barre氏の作成したZbrushのプラグイン"Ref Switcher"を使用しています。
私は今回の様な人物の作成の場合は、自分で作成したベースメッシュをスカルプトに使用します。
ベースメッシュは定期的にトポロジーやUV等を改良します。
顔のスカルプトに関しては解剖学の本やインターネットで様々な解説があるのでここでは詳しく解説しませんが、頭蓋骨や顔の筋肉等の普遍的要素をスカルプトしつつ、
Spotlightの画像と合うようにシルエットや目や口等のパーツの位置を調整し、固有の特徴をスカルプトしていきます。
ZWRAP
後程説明しますが、今回の作例ではXYZのディスプレイスメントマップをZbrushにはインポートせずに、直接Mayaにインポートして使います。
そのためZbrushでは細かい毛穴のディスプレイスメントは行いません。
その理由としてZbrushでのポリゴン数に依存しないので、XYZの高品質マップをダイレクトに活用できる事と、Zbrushでの工程を削減できるからです。
スカルプトにある程度満足したら次にMultichannel Faceの画像を、作成した顔モデルにトランスファーする準備に入ります。
今回使用したのはFemale 20s Multichannel Face #45です。
まずZbrushのレイヤー機能を使い目を閉じた状態を作成します。
次に使用するXYZの画像の縦と横の比率に合わせたポリゴンプレーンを用意します。今回は少しポリゴン数を多めにしています。この時ポリゴンができるだけ正方形になるように分割します。
作成したプレーンモデルをZbrushにインポートしFemale 20s Multichannel Face #45の画像をテクスチャとしてマッピングします。その後R3DS ZWRAPで顔モデルにラッピングします。
R3DS ZWRAPはR3DS WRAPほど高機能ではないかも知れませんが手軽に使えて便利です。
スカルプトした顔モデルと、ZWRAPでラッピングしたモデルを書き出してMariにインポートしてトランスファーの準備をします。
MARI Transfer
XYZの画像をトランスファーする前にMARIのカラースペースの設定をしておきます。
プロジェクトを作成し、プロジェクトセッティングのパネルで設定します。
ビューポートのColorSpaceをRawに設定し,画像をインポートする時はUtility-Rawで読み込みます。
その後ラッピングしたポリゴンプレーンからMultichannel Faceの画像をトランスファーします。
ディスプレイスメントマップとユーティリティマップも同じ様にトランスファーします。
トランスファーが完了したら、各テクスチャのクリーンアップやメイク、固有のホクロなどを描き、色味の調整をします。
アルベドマップと同様にディスプレイスメントマップやユーティリティマップもクリーンアップします。
クリーンアップ後ディスプレイスメントマップは適当な部分を何箇所かカラーピッカーで抽出し、Hの値が50前後になるようにします。
もし平均的に50を大きく上下する場合は調整します。MARIのコピーチャンネルを使い、RGBの各チャンネル毎に確認し調整すると良いでしょう。
Displacement Map
Richard Trouve氏の作成したMaya Displacement Wizardを使用します。
MARIからディスプレイスメントマップをエクスポートする時RGBの各チャンネル毎ではなく、RGBを統合した1枚の画像としてエクスポートし、
Maya Displacement Wizardで接続します。
各項目を設定後Set it up ボタンを押すと自動的にマップが適用されます。
私はレンダリングにV-rayを使用するので、Maya標準のディスプレイスメントではなくV-ray Displacementを使用します。
Maya Displacement Wizardの最終出力をV-ray Displacementに接続します。
このツールはXYZのディスプレイスメントマップをR・G・B毎に分解してくれます。
blendColorsノードのブレンダのスライダーで各チャンネルのディスプレイスマップ強度を調整します。
このツールによりRGBの各チャンネルのディスプレイスメントとZbrushのディスプレイスメントをブレンドする事ができます。
Hair
私は毛にOrnatrixを使用します。
Xgenでももちろん良いのですが、私が元々3dsmaxのユーザーでOrnatrixのユーザーでもあったので使い慣れているOrnatrixを使用しています。
各パートに分けて別々のOrnatrixオブジェクトを作成し、ブラシで整えます。
EditGuidesのアトリビュートのStrandGroupsで任意のガイド毎にグループ化しておけば、各ブループ毎に違った設定のClumpやFrizz等を適用できるようになります。
V-ray Material
あくまでも私の一つの例ですが、私のマテリアル設定はとてもシンプルです。
VRayAlSurfaceを使用します。
準備ができたらライティングをしてレンダリングしていきます。
今回はV-ray5でレンダリングしています。その際LightMixの機能を使ってライトの調整を試みました。
LightMixはレンダリング後に各ライトの色や強さ、オン・オフを個別に調整する機能です。
レンダーエレメントでLightMixを追加すると使用できるようになります。
今回の、私の行った制作過程はあくまでも一つの例であり、皆さんが自分自身で色々と試してみるとよいでしょう。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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